見本です。



(★)

 彼は銃が厳重に仕舞われたケースを指さしながら、言った。
「…覚悟しておけ。一発で仕留めてやるから」
 くるりと踵を返して去って行くうしろ姿を見ながら、震え上がった男たちは小声で話し合った。
「…全然、冗談に聞こえなかった…」
「本気だったんじゃないのか。逮捕の時に居直った強盗より恐ろしかったぜ」
 しょんぼりと座り込む青年に、声を掛けた者もいた。
「馬鹿だな、お前。あの人は未確認事件の生き残りだぜ、
 きれいで優しく見えたって、普通の警官じゃないんだから」
「…でも、ほんとに抱き締めてもらいたかっただけ、なんです。
 …一瞬でしたけど、やっぱりたくましい胸でした…」

(♪)

 額の、髪の生え際に、まぶたの上の黒子に、耳たぶに、鼻先にキスを落す。
 わざとピントをずらしたような場所を愛撫するな、と思っていたら、裸の胸や腹に当たる、
 男の革の衣服の感触に翻弄された。
 キスをするために身体を乗り上げて、擦り付けると気持ち良い処に当たるように、
 計算しながらキスしてきているのだ、と気付く。
 目立つ黒子のあるあごが動き、厚めの唇が顔中を弄るのが心地良い。
 この身体に関しては、男のほうがよっぽど詳しい。
 開いたジッパーの金具で、触れる全裸の肌を傷つけるのを恐れて、
 男は革のライダースーツの前を再びきっちりと閉めていた。
 革に覆われたままの長い腕をまわして、抱き締められる。
 背中に、腹に、育ちきった性器に触れる革の感触が、全裸の素肌を狂わせた。




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